ミャンマー国軍がアウンサンスーチー国家顧問を拘束しました。ほかにもウィンミン大統領や、複数の与党幹部も拘束されました。ミャンマー国軍は1日朝、クーデターを起こし、軍のトップが全権を掌握すると発表しました。
国軍所属のテレビ放送:「国家の立法・行政・司法の権利を 最高軍司令官に移行する。非常事態宣言の期日は1年間とする」
国軍出身のミンスエ副大統領が大統領代理、立法・行政・司法の全権は、軍トップのミンアウンフライン総司令官に移されました。
非常事態宣言が出された首都では、数カ所に兵士が配備されています。場所によってはATMで現金を下ろす人が多くいたり、米を買い求める人が殺到するなど、影響は少しずつ出ています。ミャンマーでは、これまでに幾度となくクーデターが、繰り返されてきました。
ミャンマー在住の門正仁さん(48):「今後の企業活動含め、どういう影響があるかというと、悪い方向にしか働かないんだろうなとは思う。(従業員は)みんな前回のクーデター、1988年の話をよく知っているので、それがまた再燃して(事態が)大きくなることを懸念している」
ミャンマーには、日本から433社が進出しています。新型コロナウイルスで打撃は受けているとはいえ、経済成長はプラスを維持するなど、国の運営は順調とも思われていました。しかし、不安要素は昨年からくすぶっていました。ミャンマーでは依然として、軍の特権が認められているものの、昨年11月に行われた総選挙でアウンサンスーチー国家顧問が率いる与党・NLD=国民民主連盟が圧勝しました。民主化にまた一歩進むかと思われていましたが、軍は不正選挙を主張。1日は新たな議会の招集日でしたが、まさにその日にクーデターをぶつけてきました。
◆隣国・タイにいる白川昌見バンコク支局長の報告です。
(Q.どうして国軍は、このタイミングでクーデターに踏み切ったのでしょうか)
一言でいうと、思った以上に根強い国内でのスーチー氏の人気を、軍が脅威に感じたといえます。昨年、スーチー氏は、国会で軍の影響力を弱める憲法改正、例えば、全国会議員のうち、あらかじめ4分の1を軍人枠としていることなどの規定を改正する提案しています。これらは結果的にすべて軍の反対により否決されていますが、それでも選挙では、与党が前回の選挙よりも議席を伸ばし、軍系は議席を減らしました。こうした状況から、スーチー氏が第2次政権を発足させてしまうと、人気を背景に、軍の影響力を弱めることを本格的に始めるかもしれないと警戒した可能性があります。
(Q.日系企業の進出も進んでいましたが、影響はどうなのでしょうか)
影響は計り知れないと思います。ミャンマーはアジア最後のフロンティアとも呼ばれて、ここ数年、多くの日系企業が進出を繰り返してきました。日本の大手ホテルやレストラン、ショッピングセンターなども大きなプロジェクトを進めていました。この背景には、軍事政権でなくなったという安心感がありましたが、これが逆戻りということになれば慎重にならざるを得ません。日系企業では、1日から急遽休業を決めたり、当面の間、在宅勤務とするところなどが出てきています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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